平成29年度 里山整備・ものづくり講座(第5回)
2018年1月13日(土)9:00~ 第5回 カントリーヘッジ・垣根づくり
新年最初の里山整備・ものづくり講座です。第5回なので、残すところあと1回となりました。
今日は午前中にカントリーヘッジを補修し、午後は垣根をつくりますカントリーヘッジは今年で5年目になります。参考に去年の記事をリンクさせておきます
さて、今年も去年と作業内容は変わりませんが、この変わらないことを継続するということが大変重要なことなのです
まずは今日の作業説明から。そして、この後はラジオ体操をして体を動かしました。ラジオ体操は、もはや化石となりつつあるCDラジカセでCDを再生しようとしたのですが、どういうわけか再生できず、スマホを使って動画を大音量にして流しました里山の環境を守るためには進歩した技術も惜しみなく使わないといけませんね
さて、カントリーヘッジですが、5年前につくったものに上から新しい木を積んでいき、下部の腐葉土化を促しますカントリーヘッジには様々な役割があり、例えば虫の住みか、材の堆肥化、また、散策者への道標にもなります。
それでは早速作業を開始しましょう
こちらは以前打ち込んだ杭を再度打っているところです。雨が降って土を流してしまったり、杭自体が風化すると杭がぐらつくので、それを打ち直します。もちろん、この杭も沢山池で取ったものです
杭は年月が経つと朽ちていきますので、新しい杭を作る必要があります。杭は地面に30~50cmは打ち込むので、比較的長く、そして真っ直ぐな木を見つける必要があります。おっ、いい枝が見つかりました
切った枝を杭の長さでさらに細かく切っていきます。
ところで、この里山活動ですが、自然環境保護の保全と言いながら木を切っていいのと考えている方が少なからずいるかと思います。実は、里山から人が薪などを切り出していた時代は、今ほど木が大径化していませんでした。また、適度に切り出していたので、樹木が密集することも多くはありませんでした。自然とは、人が手入れをしないと荒廃した状態になってしまうのですそれが本来の自然と言われればそのとおりですが、その完全なる自然状態を人は「自然が豊かである状態」とは感じません。大径化し高所に枝が伸びると落下の危険度が増しますし、木が大きくなればなるほど自重に耐え切れず倒木などが起こったりします。語弊を恐れずに言えば、自然環境=人為的に管理された環境、ということになります
切り出した枝を杭に加工します。
新しい杭を打ち込みます。朽ちた杭はそのままカントリーヘッジの材料として使います。写真の真ん中の部分が“カントリーヘッジ”です枝程度のものであれば通常2~3年程度で朽ちるそうなので、5年前に初めて作ったカントリーヘッジの材料達は、すでに土に還ったかもしれません木が朽ちて土に還るのは、様々な細菌やバクテリアが分解活動をするからですが、みなさんが普段は害虫としか見ないあの生きものも、実は里山などの自然環境にとって大変重要な生きものであることを紹介しておきます。
それは、シロアリです人間社会にとってシロアリとは木造の家の柱などをダメにしてしまう害虫ですが、森林では朽ちた木を分解する益虫です。シロアリが木を食べるのは元々の生態なんですね。家の材料となる木が特に好きなわけではありませんシロアリは木の中でも朽ちた木を主食としており、森林の中にシロアリがいることで木の分解が早く進みます。シロアリを一方向ではなく多方向から見ると、一概に害虫とは決めつけられません。ちなみに、森林にいるほとんどがヤマトシロアリという種で、家にいるのはイエシロアリです。イエシロアリは国際自然保護連合(IUCN)によって侵略的外来種ワースト100に指定されていますイエシロアリは名前から日本産のように思えますが、原産地は中国のようです。シロアリという呼び名からアリの仲間と思われがちですが、シロアリはゴキブリの仲間です。アリはハチの仲間、シロアリはゴキブリの仲間であり、体の構造が全く違います。山にある丸太の枯れ木の表面を削ってみてください。大抵、シロアリがいます。近くに寄って見てみてくださいシロアリはアリのようなくびれの部分がありません
今年の作業が終了したようです今年積んだ部分が土になる頃には、今よりたくさんの生きもの達が寄ってきてくれる場所になってることを願います
みんなで記念撮影をして午前の作業は終了です
午後の作業ですが、今日は竹穂垣をつくります。竹穂垣は以前、田んぼのあたりにつくりましたが、今日は沢山池にある唯一のトイレを竹穂垣で覆います。目隠しってやつです男性は全然気にならないと思いますが、女性にとっては何ら目隠しをされていない、堂々と突っ立っているトイレに入るのは中々勇気がいるものです誰もいなければいいのですが、周囲に誰かいる場合は入りづらいと思います
講師が大枠をつくってくれていたので、講習生は穂を指して調整するだけで大丈夫そうです
杭と杭の間に竹を渡してありますが、これは竹を真っ二つに割ったものを釘で止めています。短い竹なら簡単ですが、長い竹を真っ二つに割るには少々コツがいります。そのあたり、講師がコツを教えてくれました切れ込みを入れたら手と足を使って割っていきます。割れ方が傾いたら足で踏む部分と手で持つ部分を持ち替えて調節します。
続いて、竹の穂の差し方を教わります。ただ差せばよいというものではありません造形美にこだわってこそ目隠しとしての機能美も輝くのです
講習生も実践します。教わったとおり、竹の穂を差していきます。今回は目隠しとなるよう穂を2段で差し、高さを出しています。2段差すということは、後から差す分のスペースを考えて1段目を差さなければなりません。
ここで困ったことが起きました準備しておいた竹の穂を全て使い切ってしまいましたなので今日は・・・
ここまでです目隠し・・・になっていますでしょうか近々完成させます。
本日の作業はここまでです。次回はいよいよ最終回です