令和元年度 里山ボランティア育成講習会(第4回)
2019年7月6日(土)9:00~「令和元年度 里山ボランティア育成講習会 第4回」
今回の講習は、「下草刈り」と「竹水鉄砲づくり」を行います。
午前中は下草刈りを行います。
講師は森林インストラクターの久保寺さんです
最初に教えていただいたのは、自然保護の考え方です
自然保護の考え方は、関わる人や地域の環境によって変わるそうです
そのため、基本的な5つの考え方を教えていただきました
基本的な 5 つの自然保護の考え方・活動内容 |
自然淘汰に任せるという考え方 |
自然環境に人が一切手を加えず、今ある環境が良くなっても悪くなっても一切手を加えません。(自然淘汰とは環境に適応できないものがいなくなること。) |
保全保護の考え方 |
里山や人工林を荒廃させないように手入れを行い、里山や人工林の資源(薪や木材)を生活の中で利用します。 |
防護という考え方 |
里山や人工林を病害虫、火災、乱開発などから守ります。 |
回復改善させるという考え方 |
放置された里山や人工林を元の状態に戻し、本来の植生に再生させます。 |
維持管理の考え方 |
里山の環境を残さなくてはならない環境として、里山があった場所に元の環境を回復改善し、維持管理をして残すための活動を行います。 |
講師曰く、里山的環境を守っていくには自然保護の活動に参加するだけでなく、自然保護について知ることも大切なことだそうです
聞きなれない言葉もあって難しいですが、知ることでより楽しく活動に参加できます
本市の里山についても教えていただきました
本市には里山がありますが、市内の里山は、そのほとんどが放置され荒廃してしまったので、現在ある里山は再生したものです
現在ある里山は、荒廃前の里山と違い、里山内に生活している人はいません。この里山のことを本市では「里山的環境」と呼びます
里山が荒廃してしまった理由は斜面の多い地形にあります。
本市の里山は谷戸田をはさんだ樹林地周辺を指すことがほとんどです。そのため、斜面地が多く作業しにくい本市では、里山管理が行われなくなってしまったそうです。
自然環境について学んだあとは、樹林地管理の作業について教えていただきます。樹林地管理は樹木を健康に育てるための作業です
樹林地管理の作業には間伐や除伐、下草刈りなど作業がいくつかありますが、今回の講習は「下草刈り」です
下草刈りは健康に育てたい樹木周辺の下草を刈る作業で、育てている樹木以外の植物に栄養を取られないように行います。
現代の林業では下草刈りを刈払い機で行いますが、今回は機械が普及する前に使用されていた大鎌で行います
まずは、道具について講師から説明がありました。
使った道具は大鎌(おおがま)です。よく講習で使う手持ち鎌と違い、とても重く両手で持って使います
柄の長さが1.5mくらいあり、刃も大きく扱いにくいです。大鎌の長さ以上に周りの人と距離をとり、けがをしないように注意しながら作業を行います
大鎌を使うときは自分の身長に合わせた位置で柄を持ち、奥から手前に引いて植物の根元を切ります。根元を切るのは、植物は根元が一番固く、しなりも少ないため切りやすいからです
実際に体験すると、大きな鎌を扱うのは難しいです
柄を持つ位置が刃から遠すぎると重さを感じやすく、植物の根元に刃をあてるのは難しくなります。逆に刃の近くを持ちすぎると鎌の重さを利用できず腕の力だけで引くことになり余計な力を使うことになってしまいます
正しく道具を使えるとスムーズに進めますが、少し持ち方が変わるだけで植物が刈りにくくなるため、自分に合った柄の持ち位置を見つけることが重要だと実感できました
下の写真は作業終了後の様子です。腰以上まであった植物が刈られたことで明るくなりました
昼休憩の後は、沢山池の里山の竹林整備で出た竹の端材で水鉄砲づくりです
講師は、三浦竹友の会の阿部さんです
まずは一度、見本で先生が水鉄砲をつくります。
つくり方の手順やポイントを確認したら、さっそく各自で水鉄砲づくりの開始です。
竹はそれぞれ柄や太さ、長さが違いますので自分好みの竹のセットを選びます。
このセットはシリンダー用の太めの竹、ピストン用の細めの竹、持ち手用の小さい竹が3本1セットになっています。
今回は、先生が水鉄砲をつくるのにバランスの良いセットを用意してくれました。
ピストン用の竹には滑り止めの竹串をさして、スポンジテープを巻き、布をかぶせ、タコ糸で結びます。
この段階で、シリンダー用の竹にピストン用の竹を刺し引き抜く時「ポンッ」と音が鳴るように調整することが、水がよく飛ぶ水鉄砲をつくる上で重要だそうです
スポンジテープで音が出るように調整できたら、ピストン用の竹に持ち手を固定します。
最後に、シリンダー用の竹に水が出る穴を開け完成です
見本をつくっている時は、簡単そうに見えましたが、実際につくると竹はとっても固く、加工するのが難しいです
水鉄砲はうまくつくれるとすごい威力で水を撃てます。ですが、うまくつくれないと穴から水が霧状になって出てきたり、持ち手側から水がこぼれて自分のほうに水が流れてきたりします
完成したら川に向かって水鉄砲の試し打ちです。みなさんの水鉄砲のできはどうでしょう・・・。
皆さん水がまっすぐ飛ぶ水鉄砲が完成しました
完成した後もそれぞれの水の飛び方や水鉄砲の穴の開け方を見比べて、どうつくるとより遠くまで飛ばせるかどうか、講師を中心に講習生が研究していました。
今回使用した竹は、先生が事前に2時間煮て油抜きをしてくれました。油抜きを行うことで竹は、虫に食べられにくく、カビも生えにくくなるそうです。
この下準備によって繰り返し水で濡れる水鉄砲としても長く使うことができます。
以上で今回の講習は終了です