平成30年度 里山ボランティア育成講習会(第8回)
2018年9月29日(土) 9:00~ 第8回 脱穀
今回は田んぼ講習の最後である脱穀作業です
残念ながらの雨ですがテントを張って決行です
本来、脱穀作業は、晴れた日に行います。
なぜなら、米が濡れたままの状態ですと穂発芽してしまうためです。穂発芽とは穂のまま発芽してしまうことで、これが起こるとお米の品質が低下してしまいます
まずは脱穀の作業の説明を聞きます
脱穀作業とは、収穫後乾燥させた稲を籾(籾殻の付いた玄米)の部分と藁の部分に分ける作業です。
今回の脱穀の作業の様に、食べる部分と食べられない部分に分ける作業が必要なのは「農作物」としての特徴です。(農作物とは田や畑で栽培されている米や野菜のことをいいます。)
本来植物は脱粒性という性質があり、成長しきった実は繁殖のために自然と地面に落ちていきます
ですが、稲などの農作物は食用として品種改良が行われて脱粒性を無くしているため、乾燥させても籾が落ちることはありません。実が落ちないことで拾い集める手間をなくし、一度にまとめて作業できることによって収穫量を安定させ効率良く作業できるようになっています
農作物は確実に確保するために時間をかけて改良されているということを学ぶことができました
今回の脱穀では足踏み脱穀機を使い作業を行いました。
この足踏み脱穀機は木製の枠の中の円柱状の部分を回転させて使います。円柱状の部分は金属の部品が並んだ木の板でできていて、金属の部品に稲の束を当て衝撃で籾を落とします
説明を聞いた後は実際に体験です
足踏み脱穀機の使い方は、正面についているペダルを踏み、中の円柱部分を高速回転させてから、稲の束を持って籾の付いているあたりを金属の部分に当てます。
作業は5人くらいで行います。正面でペダルを踏み稲を当てる人、衝撃で飛び散る籾を防ぐための覆いを両側で持つ人、稲の束を渡す人、脱穀した後の藁束から脱穀し損ねた稲穂を拾う人です。
みなさん協力してスムーズに作業を進めています
この脱穀の作業が特にロスが出やすいそうです。収穫量を減らさないためには、籾が多くついている稲を拾い集めて束を作り、繰り返し脱穀をすることで、籾の取り損ねを最小限にします
取り損ねの籾が無いか確認したら、最後に籾を箒で集めて脱穀の作業は終了です
今回は脱穀に足踏み脱穀機を利用しましたが、現代の農家ではコンバインという重機を使います(昭和の農業機械化推進法により飛躍的に農作業の機械化が進んだそうです)。コンバインは稲刈りと同時に脱穀をし、藁も堆肥用に刻んだものが排出されます。
一人でも作業でき、稲刈りと脱穀と藁の処理をまとめて一度で終わらせることができるようになっています
籾のままだと食べられませんので、この後、お米として食べられる状態にするまでいくつかの作業が残っています。残りの作業は、籾摺り(籾殻と玄米に分ける)→精米(ぬかと白米に分ける)です。
お米には2種類あります。ごはんとして普段食べている普通のお米のことを「うるち米」といいます。これに対して「もち米」があり、お餅やお赤飯に使われるお米です。うるち米は半透明なのに比べて、もち米は白く不透明で見た目も違いますが、でんぷんの成分も違い、もち米には粘りがあり、この粘りを活かしてお餅がつくられます。
そして、講習会で育てたお米の種類はもち米です。収穫したもち米は収穫祭でお餅つきをします
楽しみです
脱穀作業の後は藁部分で藁細工体験です
藁はたくさんの活用方法があり、現在でも田んぼなどの堆肥として活用されています。さらに昔は生活必需品の材料として使われていたそうです。例えば草履や蓑などです。現代では草履はサンダル、蓑はレインコートといったように、藁製から布製やプラスチック製に変わっています。
今回体験したのは、藁縄づくりとしめ縄づくりです
説明を受けてから、さっそく実践です
藁縄づくりは藁6本を束にして、余計な葉の部分を取り除いて使います。まず3本ずつまとめてそれぞれをねじり、ねじった向きとは逆の向きに編んでつくるそうです。この工程を両手をすり合わせる様にして行う作業が縄を綯(な)う方法だそうです。
この作業は説明を聞くよりも実際に見せてもらう方が分かりやすいですが、手の中で藁を回転させるのは難しいです
しめ縄は、藁縄よりも使う藁の量が多く、束を3等分にして縒り合わせます。
しめ縄は4人でつくることもできます。ねじる人まとめる人で協力してつくるとあっという間に完成です
藁細工は講師の方はもちろん、講習会のOBの方たちもきれいに素早く完成させていました。流石です
藁細工はつくり方を説明してみましたが、実際に体験してみるのが一番だと思います。言葉で説明するのはとても難しいです
最後に残りの藁を田んぼの上に立ち上げて縛り、第8回の里山ボランティア育成講習会は終了です
お疲れ様でした