平成29年度 里山整備・ものづくり講座(第3回)
2017年11月11日(土)9:00~ 第3回 間伐
11月11日です。「1」が並ぶこの日は、様々な記念日に指定されているようです例えば「ポッキーの日」であるとか、「チーズの日」、「チンアナゴの日」などなど第1次世界大戦の停戦記念日も今日、11月11日のようです。中国では1が並ぶので「独身の日」としているようです。独身の日は、どういうわけかネット通販会社などが大幅割引セールを実施するようで、今年もたった1日だけで、日本国内最大手のネット通販会社の年間流通総額にも匹敵するほどの額だったとかさすが、世界一の人口を擁する国です
さて、こちらは1に見える「樹林地」が広がる沢山池の里山です11月11日に新たな記念日として「里山樹林地の日」を追加しましょう・・・もうこれ以上11月11日に記念日は増やさなくてもいいですね笑
今日は里山整備・ものづくり講座の第3回目です。前回が悪天候で延期になってしまったので、4か月という期間が空いてしまいました沢山池の里山も
夏の青々とした山から
紅葉の季節へと移りました
今日は、池の中に群生する立柳の間伐を行います。午後は、里山で取れた端材を使って自然柵づくりと、枝払いをした枝などをチップにします。
沢山池の中に群生する立柳ですが、実は三浦半島ではここしかない環境なので、昆虫や水辺に生きる鳥達にとっては貴重な場ですただ、群生していると枝が絡まりあったり、日照が不足するなどの問題が生じるため、手入れをする必要があります。
長すぎる枝や、隣の木にかぶさっている枝など、他の木に影響を及ぼすものを切ります。そして、幹自体も間伐します。
ある程度以上の幹周の木を切るには手順があります。木というものは闇雲に切ればいいというものではないんですね大切なことは、周囲に声をかけることと、どの方向に倒すのが最善かを考えることです。
まずは「受け口」という、倒す側の方へ三角形の切れ込みを入れます。この程度の幹周では本来必要ないのですが、今日は講座であり、練習のために受け口を作ります。講師から、大体3分の1くらいまで横に切り、次に斜め上から切れ込みを作り、三角になるよう切ります、と説明されますこの斜め上から切っていくのが意外と難しく、講習生は四苦八苦
そして、これが受け口です。
この切り口側に木を倒すよう、反対側から切ります。
ちなみに、切った破片がこれです。この受け口を作らないと伐採する際に思わぬ事故になる可能性があります。木というのは、みなさんが想像している以上に重いのです受け口を作らずに木を切ろうとすると、思った方向とは全然違う方向に突如倒れだしたり、切ってる側に傾いて、そのままのこぎりが挟まって抜けなくなったりすることもあります。
受け口とは反対側から切ります。受け口側に木を倒すのですが、受け口を作ったからといって油断してはいけません。木は伐り倒して地面に倒れた際に、”跳ねる”場合があるのです。何百kgもある木が”跳ねて”それが人間にぶつかった場合、最悪のケースでは死亡事故になりますこの倒木の際の”跳ね”で実際に死亡事故も起きています。大木を切る場合は十分に注意してもしすぎることはありません
今日は講師の指導の下、安全に切ることができました
あとは、切った木を運びやすい大きさに解体し、みんなで運びます
立柳の群生はこのようになっています。普段は池か川の水があるので、水が引いた時にしかできない作業です
午前の作業は以上で終了です。昼食をとり、午後の作業に移ります
午後は、通称サワガニ広場と呼んでいるあたりに木と竹で作った柵を設置します沢山池の里山は、市民緑地なので基本的に立入禁止の区域は設けてはいませんが、自然保護をしている区域、自然環境の再生を行っている区域、倒木や土砂崩壊などの危険と思われる区域には入らないよう呼びかけています。ここは、しばらく雨が降らないと川の水量が減り、一見すると入れそうに見えるのですが、元々は川が流れている場所なので、湿地状態です。知らずに入ると底なし沼のようにはまってしまうので、立ち入りを防止するための柵です。
まずは、柵の軸となる木に竹を打ち付けます。さすがに端材で木と竹を頑強にくっつけることは難しいので、ここでは釘を使用しています
電動ドリルを初めて使う方もいたようで、最初は戸惑っていましたが、みなさん徐々に慣れてきました
こういう決まった形のないモノを作る時は、作る人の感性が出て面白いものです
完成した柵を2つ見比べてみましょう左の柵は、上下に2本木を通し、そこにほかの木を絡ませるようにつくってあります。外側から内側へ木をまたがせていますし、写真ではわかりにくいですが蔓がまかれている枝を使っています。一方、右の柵は、直線的な木を配置し、木の形自体を活かして、幾何学的な模様を描いているようにも見えます。左の柵は艶やかさが、右の柵は力強さが感じられますそれぞれの個性が出ていますし、自然素材なので沢山池の里山の雰囲気にもマッチしています
さて、本日最後の作業は、沢山池周辺で枝落としをした枝などを、破砕機を使ってチップにする作業です。
小さいですがチップ広場なるものをつくり、昆虫が寄ってくる場を作ろうと思います
これが枝をチップにする破砕機です。
名称を見ると、何やらウッドチップではなくポテトチップが出てきそうな名前の機械です
これ、エンジンかけるととんでもない爆音がします人と人が50cm程度の近い距離にいても全く会話ができません。近くで作業をする場合、耳を痛める可能性があるため、防音用イヤーマフというものを装備します。
これです
イヤーマフを装着するだけでかなり耳が保護されているのがわかりますしかし、これをつけると30cmの距離で話しかけられても何も聞こえません
写真上で、右側から枝を入れ、左側からチップになって出てきます
枝を運ぶ係りと、チップ化する係りに分かれて作業します。途中、作業を交代してチップ化の作業を体験します。この破砕機ですが、樹木を巻き込む力が強く、かなり気を付けないと手が引き込まれて・・・のような状態になりかねません慎重に作業します。
写真ではわかりにくいですが、チップを敷いています。ここにもっと多くのチップを積み、昆虫が寄ってくる環境を作りますチップ化するとただの枝状態より早く腐葉土化が進みます。切った枝などが乾燥し、朽ちて土となるまで2年以上かかりますチップ化することで、それを早めることができるのです。そうした環境が好きな、例えばカブトムシの幼虫などが生息できるような場になることを願います
以上で本日の作業は終了です。みなさまお疲れ様でした