平成29年度 田んぼづくり講習会(第5回)
2017年9月9日(土)9:00~ 第5回 稲刈り
9月9日、今日は重陽(ちょうよう)の節句ですね五節句のうちの一つであり、あとの四つは1月7日の人日(じんじつ)、3月3日の上巳(じょうし)、5月5日の端午(たんご)、7月7日の七夕(しちせき)です。節句は中国の陰陽五行説に由来した日本の風習です。陰陽思想では、奇数は陽の数であり、その中でも9は一桁台で最高の奇数であるため、その最高の陽が重なったという意味で「重陽」と呼ぶそうですわかりやすく現代風に言い換えるとしたら、今日が一年の中で一番何かがうまくいきそうな気がする日、ってところでしょうか
さて、どれほどうまくいったか今日の講習会の様子を見てみましょう
天気もよく、絶好の稲刈り日和です
と、ここで講師から重大発表が・・・
「今日は稲刈りは出来ません。穂が十分に生育していません。まだ緑色です。稲刈りは次回に延期します。」
あれ陽の重なるとてもいい日・・・
実際の田んぼの様子をみんなで確認します。
分げつは進んでいるので、生育自体が悪いわけではなさそうです。生育が悪いのは穂の部分です。
穂の部分のアップ写真です。穂がまだ緑色なのがわかりますでしょうか今年の8月は雨が多く、日当たりが良くなかったですね。横須賀の連続降雨日はわかりませんでしたが、東京は21日連続で雨が降ったようです長雨が原因かな?と思いましたが、どうやら違うようです。ここ沢山池の里山以外の田んぼ、野比や阿部倉では例年通りの生育だそうです。どういうわけか、沢山池の里山の稲穂だけは生育がよくないようです。これには講師も、原因がわかりません、とのことでした
気を取り直して、今日は別作業にしますこれから稲穂が黄金色になっていきますので、それを狙う雀などから稲穂を守るため、鳥除けネットをかぶせ、また、次回稲刈り後に稲架掛(はざが)けを行うようの稲架(はざ)を作製します。
まずは鳥除けネット設置の様子から。
これは鳥除けネット用の支柱となる笹を切り出しているところです。
まずは田んぼ全体にネットをかぶせます。
次に、先ほど切り出した笹を立ててネットが稲穂にかからないようにします。
2年ほど前からスズメが飛来するようになりましたそれ以前はこのようなネットをかぶせる必要がなかったのですが、ついにスズメ達にばれてしまいました
完成です100%防げるわけでわけではありませんが、鳥除けネットを張らないと収穫量が激減してしまうことは間違いありません
続いて、稲架の作製です。
稲架(はざ)とは、刈った稲を干すための物干し竿です。稲刈り後、穂はすぐにお米として食べられるわけではありません。刈った稲には水分が多く含まれているので、この水分を飛ばして乾燥させる必要があります水分が残ったままだと脱穀後に腐りやすくなり、長期の保存ができなくなります
現代農業はそのほとんどが機械化されているので、稲架掛けをして天日干しをしたお米は今や大変貴重なものです現代では、収穫後に天日干しはせず、熱風乾燥という方法で乾燥させます。要はでっかいドライヤーで籾の水分を飛ばし乾燥させるということです稲架掛けをして作る沢山池の里山のお米は、現代では高級米になるということですかねさらに、沢山池の里山の稲作は無農薬です無農薬で稲架掛けをしたお米がどれほど貴重なのかはみなさん調べてみてください
これは竪穴式住居の骨組みを作っているところ・・・ではありませんこれが「稲架」です。昔は木や竹で稲架を作っていました。というわけで、一部を竹で作るために、竹を切り出してきました。
ここはこの沢山池の里山で開催しているもう一つの講習会である「里山整備・ものづくり講座」の第2回で整備した竹林と同じ場所です稲架に使えそうな竹を切り出し、運びます。
単管パイプ製は3段のものを2つ作り、その横に竹製の稲架を1段作ります。
完成ですさあ準備は整いました。あとは稲刈りをして干す、そして脱穀です。
次回はいよいよ最終回です
ところで、重陽は奇数が最大に重なるとても気の強い日なのですが、以前は陽の気が重なりすぎる不吉な日であったようです。その不吉を払うために節句が行われていたようですが、後に陽の気が重なる大変良い日であるという解釈に変わったようです人は「気」の持ちようで色々と考え方や気分が変わりますが、今も昔もそこは変わっていないようですね笑