平成29年度 田んぼづくり講習会(第4回)
2017年7月22日(土)9:00~ 第4回 草取り
7月も残すところあと1週間ほどとなりました7月は日本の旧暦では「文月」、英語では「July」ですね。文月の語源は様々な説がありますが、Julyの語源はユリウス・カエサル(紀元前100年~紀元前44年)という共和政ローマ期(紀元前509年~紀元前27年)の政治家・軍人です。ユリウス・カエサルは「Julius Caesar」と書きます。英語の発音では「ジュリアス・シーザー」と読みます。そう、あのシェイクスピア作の悲劇であるジュリアス・シーザーです。腹心であったブルータスに暗殺される際のセリフ「ブルータス、お前もか・・!」が有名ですね
さて、今日は田んぼづくり講習会の第4回です。本日の作業は前回と同じ「草取り」です。ちなみに、ユリウス・カエサルの話は今日の作業に1mmも関係ありません笑
まずは本日の作業の説明です。今日はちょっとした余興があります。田んぼづくりOB会のOBが紙芝居を制作したので、そのお披露目をしました
紙芝居の題材は、この沢山池の里山にいるウグイスです。漢字では「鶯」と書くこの鳥は、一般的に「ホーー~~ホケキョ」と鳴くと認識されています。ところが、実際には違います。
沢山池の里山で耳を澄ませてみると、「ホーー~ホチョヒ」「ホーーホホホチョイ」「ヒーホケキョ」「ホーー~ホホホケキヨ」と実に様々な鳴き声があることに気付きます。
ウグイスの鳴き声は個体によって鳴き声が違い、その鳴き声の違いによってその土地に何羽のウグイスがいるかを識別するそうですまた、鳴き方を教わって自分流の鳴き方を作るそうですが、教えるウグイスが上手くないと、鳴くのが下手なウグイスになってしまうようです
紙芝居を作ってくれたOB会の方の話では、沢山池の里山で田んぼ活動や里山整備活動に参加された方は、最初は作業が大変で周りの自然にそこまで注目できないそうです。徐々に作業に慣れてくると、沢山池の里山の自然のよさに目がいくようになる、と。そして、鳥のさえずりや虫の声までが聞こえるようになり、ウグイスの鳴き方の違いもわかるようになったとのことですこれは自分の体験でそう感じたそうです。自然に触れる、自然の中で遊ぶ、自然の中で何かの活動をするなど、自然を相手に何かしらしたいなと思っている方は多いと思います。それには、1回限りではなく、何度も同じ場所に足を運ぶことで、徐々にその自然に慣れていくものなのかもしれませんちなみに、紙芝居の外枠はこの沢山池の里山で取った端材を使っています
紙芝居のお披露目を終え、そろそろ本日の本題へ草取りの作業手順は前回と同じなので簡単にですが、人間は慣れた時や油断した時ほどケガをしやすいので注意です特に、鎌で手を切らないよう注意しなければなりません。
今年は梅雨時期にあまり雨が降らず、稲が成長するか心配でしたが、大丈夫なようです
横須賀の農法は天候に左右されてしまうとのことで、梅雨時に雨が降らないとご覧のとおり田んぼから水がなくなります稲は強い植物なので、多少水がないくらいで枯れてしまうということはありません。ただし、分げつに支障が出てしまうと思われます
みなさん、もう慣れたものですね今日は前回とは違った機械を使いました。こちらです。
刈り取る部分はこのようになっています。
魚のような簡易スキーのような形をしています
この刈り取り機は前回のものとは違い、暴れ方が静かです。笑
刈り取るとこのようになります
稲と稲の間は相変わらず手作業でないと抜けませんそこは草刈りではなく草取りです。
さて、草取りは雑草を刈っていくことですが、雑草と一口に言ってもどんな雑草が生えているのでしょう?
この葉を見て講師に「雑草でアジサイなんか生えてくるんですね、時期的に花は咲いていないようですが」と話しかけると、「これはアジサイではなくカラムシですよ。お盆なんかで使われる苧殻(おがら)の原料になるものです。」と教えてくれました。
葉の拡大写真がこちらです。これが畔に
このように自生しています。これも畦にある雑草の一つです。
茎部分を剥がしてみるとこんな感じになります。写真が小さくてわかりにくいと思いますが、繊維質でとても丈夫です。
カラムシは文献上様々な呼び名で登場します。「苧麻(ちょま)」、「青苧(あおそ)」、「真麻(まお)」などです。この植物は麻繊維を採る植物として古くから人々の生活のそばにありました。日本書紀では民に栽培を奨励する作物として「紵(からむし)」が登場します。また、戦国時代では越後国(現在の新潟県)が日本一のカラムシ生産国であったため、越後の大名である上杉謙信は衣料の原料として積極的に売り出し、利益を上げていたのだとかカラムシを原料とした織物である「越後縮」はこれで作られています。越後縮は現在「小千谷縮」と呼ぶようです昔は農民の副業としてカラムシから麻繊維を作り自分たちの衣服を作っていましたが、現在ではカラムシを原料とする着物などは高級品となっています。
これが繊維です。こんなに細いのに引っ張っても千切れず、大変頑丈です。講師が「この田んぼを貸してくれている農家の方は、自分が子どもの頃カラムシを採ってきて糸として紡ぐ手伝いをよくさせられていたそうです。現代では綿が主流なので、見かけることはほとんどなくなってしまいました」と教えてくれました。というより、現代ではカラムシは高級すぎて普段は見られないという方が正しいかもしれません
以上で本日の草取りは終了です。次回はついに稲刈りです