里山的環境の保全と活用
活用事業について

図7.png 農地、水路、ため池、雑木林等と集落が一体となった地域は里山(里地里山)と呼ばれています。里山は、農林業の生産活動や生活の場として人が形成し保ってきた自然環境です。

日本人は食料や燃料をはじめ多くの生活必需品を里山で生産してきました。ため池から水田に水を引いて米を作り、雑木林を伐採して薪や炭を作るなど、暮らしの中で造られた自然が美しい景観を生み出すとともに、自然とのつながりのなかで伝統的な文化・行事が培われました。

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里山は人が手を加えた自然環境ですが、カエルやメダカ、カタクリなど、様々な生き物を育んできました。

里山に暮らす生き物は、日本人にとって昔からとても身近な存在でした。


図8.png 日本人にとって長年重要な役割を担ってきた里山ですが、現在は消失や荒廃の危機に瀕しています。
開発・宅地化によって、多くの田畑や山林が消失しました。また、近代化とともにエネルギーが石油、ガス、電気に移行し、薪や炭を作るために雑木林を利用することは殆どなくなりました。
さらに、農林業の担い手が減り、里山は手を入れられずに放置され、荒廃が進んでいます。
水田跡.jpg 里山の消失・荒廃によって、そこに暮らす生き物も減少し、また絶滅の危機にさらされています。
環境省によれば、全国の希少種の集中分布地域の5割以上が里山にあたるそうです。

里山が減少・荒廃する現状に対して、国の生物多様性国家戦略では、わが国の生物多様性の危機の一つに里地里山の危機を位置づけ、保全に取り組んできました。


図9.png本市では、平成23年度から「里山的環境保全・活用事業」を実施しています。この事業では、生産や生活の場として利用されることが少なくなった里山的環境を、市民の憩いや環境教育、生態系保全など、新しい価値観のもとで保全・活用することを目指しています。

  ・身近な自然環境や景観を保全し再生します。
  ・人々が自然とふれあう場や環境教育・環境学習の場として活用します。
  ・生物多様性(生物とその生息環境)を保全します。
 
事業を実施するモデル地区を設定して、市民、事業者、市が連携して水田や雑木林などの手入れを継続的に行っています。また、市民が身近な自然を感じ体験できる機会を提供しています。
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 ・水田の再生や維持管理
 ・里山林の維持管理
 ・里山ボランティア講習会の開催
 ・小学校向け「田んぼ学校プログラム」の実施
 ・自然観察、田植えや稲刈り、里山林手入れなど体験型イベントの開催
 ・自然環境(生態系)の調査

 

長坂緑地について
本事業ではその取組みの一つとして長坂5丁目の沢山池周辺をモデル地区「長坂地区」と定め、土地所有者や地域と協定を締結し、平成25年度から里山活動にかかる講習会開催を通じた市民協働による水田や雑木林などの再生・手入や、市民が自然とふれあうため体験会などのイベントを開催してきました。
平成30年度には土地所有者からの大半の土地の寄付を受け、令和4年度には「長坂緑地」として都市公園公告しています。

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→長坂緑地での活動はこちらからご覧ください

野比かがみ田緑地について
本事業では平成27年度に「野比かがみ田谷戸地区」を活動場所として追加し、水路や観察路の整備、田んぼの再生活動など保全活動のための基盤整備を実施してきました。
そのような整備活動を経て、令和3年度には「野比かがみ田緑地」として都市公園公告し、令和4年度からは指定管理者による管理へと移行しました。現在は、これまでの活動を引き継いだ事業者による環境保全や水田再生を継続しており、令和5年度には環境省の「自然共生サイト」に認定されました。

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→野比かがみ田緑地が「自然共生サイト」に認定されました(市の外部ページが開きます)

→野比かがみ田緑地についてはこちら(指定管理者の外部ページが開きます)

 
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